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> ダーティークロベェ先輩 Part2
格闘技には「裏技」と言うか、「あ、汚いぞ!」と思わず声をあげたくなる様な技術が存在します。映画「地上最強のカラテ」にも、添野(現・士道館)館長がキックルールでもつれ合った際に自分が有利になる裏技を伝授されているシーンがありました。

命がかかった場面ではキレイも汚いもありませんし、武道の発祥が「命のやり取り」と言う究極の真剣勝負である以上、そう言った裏技が存在するのは当然なのかも知れません。

ま、ルール有りきのスポーツでも「裏技」チックな行為は有りますよね?例えば野球の隠し玉とか敬遠とか。ルール違反ではありませんが、正々堂々の勝負と言う観点からすると、ちょっと格好悪い気もしますが。

筋肉に継ぎ目を狙うパンチが練習で禁じ手になって数日後。クロベェ先輩が新しい裏技を引っさげて8トレに現れました。
「新しい技 考えたぞ(ニヤリ)」
説明によると組手構えで向かい合い、パンチを出しつつ足を大きく踏み込んで…相手の足の甲を踏む…そうな。
「踏まれた相手はビックリして一瞬動きが止まる」
そりゃそうだ。
「で、逃げようと後ろに身体をそらす。ところが足を踏まれてるので逃げられない。その無防備な上体へストレートをぶち込む! どうや、コレ?」
…いや…どうと言われましても…ちょっと…  後輩一同、沈黙。
「実際やってみよ~や」 先輩が立ち上がり、カズヤを相手に指名しました。
「エエか?行くぞ!」 勢い良くステップインするクロベェ先輩。 ダンッ! 板の間を踏み鳴らす大きな音。

本来、奇襲技は相手の意表をついてこそ効果が現れるのですが、事前にネタをバラしてしまってるモノですから、カズヤはあっさりクロベェ先輩の踏みつけをステップバックでかわしたのです。
「もう一回!」 バンッ! 不発に終わった踏み付けは前よりも大きな音を8トレに響かせました。後は延々この繰り返し。グルグルと3~4周したあたりで先輩も足が痛くなったのでしょう、ポツリと「もう終わろか…」

かくして不発に終わった第2の裏技でしたが、その後時おり組手の最中に意図せず相手の足を踏んでしまうことが稀(まれ)にありました。そんな時はお互い顔を見合わせて、こみ上げて来る笑いを抑えきれなくなるのでありました。
※この技は試合では使えない(使いにくい?)ですけど、相手の動きを一瞬止めるには有効です。裸足ならカカトを相手の甲に落としたり、靴を履いてると一層効果的だったりします。あくまでも奇襲技ですから、くれぐれも相手に予告してから繰り出したりしないようにしましょう(笑)
(続く)
by osaka-kenyukai | 2001-12-31 22:53 | 連載:拳友会遊戯